044 永久歯の本数が足りない(先天的欠如歯)・でこぼこの歯ならび・交叉咬合(擦れ違い咬合)| ブラケット矯正・インプラント・アライナー矯正・マウスピース矯正・メタルフリー | 黒部市 中央歯科医院
2025年07月16日
17才の女子高校生です。
両側とも下の5番目の永久歯が生まれつきありません(先天的欠如歯)。
中学生の頃「永久歯の本数が少ないこと」は他院で指摘され知ってはいたものの、現時点での対応や将来的な治療については考えてこなかったそう…高校生3年生の春、残っている乳歯がぐらついてきたため、これからのことを不安に思い、母親と一緒に来院しました。
治療相談の為に歯科医院受診したのは当院で3軒目。
1軒目の歯科医院では矯正治療とインプラント治療が必要と言われ、2軒目の矯正専門医では咬み合わせのため、上の5番目の歯を両側2本抜歯し、矯正治療を行う必要があると聞いたそうです。
歯科医院によって異なる治療方法を提案されたことに混乱された様子です…
約1年後には海外へ進学を予定しており、十分な治療期間が確保できないことについても心配しておられました。
院長から治療方法の選択する上で「病気の本質を見失わないこと」の重要性をお話しました。
彼女の問題点は、次の通りです。
・両側下顎の5番目の乳歯が先天的にないこと
・本来あるべき5番目の永久歯と残っている乳歯の横幅が異なる為、他の歯の位置が不適切であること
・上下の顎の関係にズレがあること(アングルⅡ級)
・下顎が気道方向に誘導されている(下顎後方位)
・でこぼこの歯並び
・両側12才臼歯が交叉咬合(擦れ違っている)
母親からの要望は「より正常近い状態を目指すこと」と、「もしも治療継続が出来なくなったとしても他院でも治療が出来るような方法で治療をしたい」とのことでした。
「正常」を目指すなら、先天的に永久歯が足りないところをインプラントで補うことを提案しました。
しかし、通常2~3年の治療期間が必要な矯正治療を1年終えることだけでも難しく、更にインプラント治療の為の期間も確保できるか…お互いわからない状態でした。
話し合いの結果、まずは矯正治療を進め、インプラント治療は矯正治療の進捗状況と進学等の予定と相談し、検討することとしました。
3Dリンガルアーチとブラケットを用いた矯正治療は順調に進み、矯正治療とインプラント治療を並行して進めることを提案し、行うこととなりました。
【治療中】ブラケット+インプラント
治療開始から10ヶ月後、予定していた全ての治療を終え、留学前にホワイトニングを行うことができました。本来、矯正治療前に行った詰め物の再治療(被せ直し)が必要ですが、今回は治療を見送ることとなりました。
【治療完了時】
治療期間 9か月(3Dリンガルアーチ・ブラケット)
費用 1,520,000円(税別)
最初の治療を終えてから約10年後、検診のためお越しになりました。
2年前、右上の奥歯が欠け、海外で詰め物を行うことになった以外、トラブルはなかったそうです。
半年から数年に一度、日本には戻ってきているようですが、滞在期間は短いそう。以前がら日本での歯科治療を受けにくい生活になるとは聞いていましたので、治療終了から10年、大きな問題はなく経過している様子に少し安心しました。
10年前、治療期間が無い中での必死の治療とはいえ、当時の決断がなければ今のような口腔は維持出来ていないでしょう。
咬み合わせのズレと歯並びの乱れがあり、再度、矯正治療を検討することとなりました。
高校卒業後、海外での生活が中心で定期的な通院が難しい為、オンライン診療が可能なアライナー治療を選択。アライナー治療の終盤を迎える頃、コロナの影響で数か月間日本に待機することになり、本来、矯正治療後に行う必要のあった詰め物の再治療(被せ直し)を進めることになりました。
治療を行うまでの治療計画はオンラインにて相談し、帰国後すぐに治療を開始、治療開始から約1ヵ月で補綴治療が完了しました。
【アライナー後再補綴】
これは、矯正・インプラント・補綴治療(被せ物や詰め物を行う)を組み合わせたオーラルリハビリテーションという治療です。
オーラルリハビリテーションは必要な全ての治療同時に行うことが最も合理的ですが、事情により叶わない場合もあります。
その場合、ゴールまでの時間はかかりますが、治療の順序と内容を間違わなければ、最終的には良い状態を作り出すことが出来るのです。
治療期間 2年1か月(アライナー)
費用 1,540,000円(税別)