咬合診断はなぜ必要なのか
2024年11月18日
「この世の中には、2つだけ不幸なことがある。
まず1つは、正しい情報を持っていないということ。そして2つめは自分が何をしたいかとわかっているにもかかわらず、挑戦しないこと。」
これはパイロットを目指し、高校から専門的に勉強を始め大学に進学した矢先、交通事故で右目の視力を完全に失った青年が恩師に掛けられた言葉です。
日本では片目の視力のみではパイロットを取得する為の身体検査をクリアできないため、失明が分かった時点でパイロットの夢は諦めたそうです。
空への情熱を捨てきれなかった彼は、航空安全を学ぶために渡米し、出逢った恩師から「夢を諦めるな」と背中を押してもらったそうです。
そして、事故から7年、アメリカでパイロットになる夢を叶えたのです。
失明後も空の仕事に携わりたいと勉強を続けた本人の努力の賜物であること言うまでもありませんが、それ以上に恩師の助言を素直に聞き入れ「正しい情報にアクセスしたこと」が彼の人生を変えたと言えるでしょう。
私はどこか歯の治療も似ている気がします。
「正しい情報を知らないこと」と「無目的に本質を欠いた治療をし続けること」は不幸としか言いようがありません。
より良い口腔を獲得する為に必要なことはまず「正しい情報を知ること」です。
当院では治療前に必ず「咬合診断」を行います。
これは患者が「正しい情報を知ること」を目的としており、「現状を受け止め必要な治療を理解するため」の大切な時間と考えています。
レントゲン写真撮影等必要な検査を行い、1~2週間後に診断結果と治療についてお話します。
説明の所要時間は45~60分程度です。
死ぬまで人生を共にするご自身の口腔の現状とこれからを一緒に考えませんか?
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歯科治療によるAir Way(気道確保)
2022年04月1日
⻭並びが悪いと喉の空気の通り道が狭くなり全⾝が酸素不⾜になってしまうというリスクがあります。
そこで、近年では” ⻭科治療による気道の確保” という考え⽅に注⽬が集まっています。
⻭並びの悪さが原因で不定愁訴などの全⾝の健康に悪影響をもたらすことが多いのですが、⼀般的にはまだ良く知られていません。
⻭科治療によるAir Way(気道確保)とは
⻭科治療による気道の確保とは、理想的な咬み合わせで気道を確保するということです。
⻭がU字型にきれいに並んで、かつちょうど良い⾼さの咬み合わせならば、⾆は正常な状態を保てます。しかし、⻭並びと⻭の咬み合わせの調和が取れていないと、咬み合わせが悪いと酸素をうまく取り⼊れることができません。⻭科治療にとって気道の確保は、吸いこんだ酸素を全⾝にうまく送り出せるかどうかの重要なポイントなのです。
⾆房(ぜつぼう)を確保する重要性
⻭科治療では、⻭列の内側にある⼝腔の容積を広げて⾆房を確保することが重要です。⾆房とは⾆の房、つまり⾆を収めるベロの部屋のことです。
⾆房がしっかりとあれば、⼝を閉じている時に⾆先が上の前⻭の裏の⻭茎に軽く触れ、⾆全体は上顎にくっついている状態になります。
しかし、⾆房が狭いと、⾆の居場所がなくなり喉の奥の⽅に⾏くしかありません。結果として気道が⾆で塞がれて空気が通る道が細くなり、呼吸がしづらくなります。
⾆房が狭くなると起こりうるリスク
⾆房が狭くなると1 回に吸える酸素が少なくなり、酸素不⾜に陥ります。
⾆房が狭くことで起こりうる健康被害は、以下のものです。
偏頭痛 ・睡眠障害疲労感・慢性的な冷え性・肩や⾸のこり・ 腰痛・顎関節症・ 顔のゆがみ・喘息
⾆房が狭くなると酸素不⾜になります。酸素不⾜になると血流に乗って届くはずの新鮮な酸素が不⾜し、末端に⾏く頃にはなくなってしまうので⼿⾜が冷えます。
⻭並びの悪さや⾆房の異常は神経系や⾻の歪みなどにも影響し、顔⾯や⾸から下のあらゆる器官に影響が出てしまうのです。
⾆房が狭くなる2つの理由
では、なぜ⾆房が狭くなるのでしょうか。その理由は以下の2 つです。
【理由 その1】⾆に問題がある
⾆は筋⾁の塊です。しかし、⾆に⼗分な筋⼒がないと⾆房が狭くなってしまいます。
⾚ちゃんは⾆で乳⾸をしごいて⺟乳を飲みます。⺟乳が終わっても唾液を飲み込むという⾏為によって、⾆の筋⾁は発達していきます。⾆は⼝内を広げ、あごの成⻑も促します。
唾液がたくさん出れば唾液もたくさん飲むことができますが、唾液はあごを使わないと作られません。⼤きな唾液腺はあごの周辺にあるからです。柔らかいものばかり⾷べていると、⼗分に唾液を飲むことができなくなります。そのため⾆の筋⼒が⼗分に発達できず、⾆房が狭くなってしまうのです。
⾆の筋⼒が⼗分に育たないまま⼤⼈になり、さらに加齢に伴う筋⼒の低下でさらに問題が顕著化すると⾔われています。「誤嚥性肺炎」も⽼⼈になってから発⽣する問題ではなく、幼少期からの問題が⽼⼈になってから表⾯化しただけだという説もあります。
【理由 その2】間違った矯正治療
実は、間違った矯正治療でも⾆房が狭くなってしまうことがあります。⻭列をただきれいに並べるだけの矯正治療は、⾆との調和がうまくいかず⾆房を狭くしてしまうのです。
⼈⼯的に無理やり作られた⻭列では⼝内の空間が狭くなることがあります。その状態では⾆が左右の⻭にギュウギュウ押されて盛り上がります。
悪いことに、今まで⾃⼒で⻭を並べることができなかった筋⼒のない⾆は後⽅( 喉の⽅) に押しやられてしまい、その結果気道が狭くなって細い笛のようになってしまうのです。
気道確保を前提とする最良の矯正⻭科の選び⽅
気道確保を前提とする最良の矯正⻭科を選ぶには、治療前のカウンセリングで咬み合わせの重要性や気道確保について説明をしているかどうかをチェックすることです。
上記のような矯正⻭科は、「Air Way Dentistr y」をしっかりと理解しています。
「Air Way Dentistry」とは気道確保を中⼼に⾏う⻭科治療のこと。
「Air Way Dentistry」では、これまで説明してきたように、適切な咬合⾼径( 咬み合わせの⾼さ) をすることが重要と考えています。もしも、適切な咬み合わせの⾼さ( 咬合⾼径) の確保なく場当たり的な治療を繰り返すと、⼝内の⾼さを失うことになり、⾆房が狭くなることにつながります。
すると、「舌房が狭くなると起こりうるリスク」でお伝えしたような様々な健康被害が出てしまうのです。
つまり、安易な抜⻭や⾆房に配慮がない治療は、健康被害を招くということです。
「Air Way Dentistry」を理解している矯正⻭科は、これらのことを分かりやすく説明してくれるはずです。
「咬み合わせが⼤切」というのはどの⻭科医院でも⾔うことですが、なぜ咬み合わせが⼤切なのか詳しい説明がなければ、こちらから聞いてみましょう。もしも、内容まで詳しく説明できないようであれば、別の⻭科医院を検討しましょう。
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オーラルリハビリテーション(咬合再構成)とは
2022年01月11日
「咬合再構成って何?」
「咬合再構築ってどんなことをするの?」
⻭医者で矯正治療や審美治療の相談をしたら、咬合再構成や咬合再構築を勧められる場合があります。ただし、あまり聞き慣れない⾔葉なの で、「それは何?」と⼾惑ってしまう⽅も多いでしょう。
咬合再構成も咬合再構築も同じ意味を⽰す⾔葉で、⼝腔全体を包括的に考えて⾏う⻭科治療のことです。
咬合再構成とは
咬合再構成は、冒頭でも触れたように⼝腔全体を包括的に治療することです。
咬合再構成はどんな考え⽅で、何をゴールとして⾏うのかを詳しく説明します。
咬合再構成は⼝腔全体を1単位と考える
⻭の治療は通常、⾍⻭ができれば⾍⻭治療、⻭並びが悪ければ矯正治療というように、個別に対応するのが⼀般的ですしかし、それでは弊害が起こる場合があります。例えば以下のような例があります。
・⾍⻭は治ったけれど全体の⻭並びは悪いまま
・⾍⻭は治ったけれど顎が痛い
・矯正治療が終わって数年後に咬み合わせが悪くなった
ほとんどの⻭医者の場合、将来を⾒越して治療をしますが、中にはその症状だけを改善するような治療をする⻭医者もいます。すると、例に挙げたようなトラブルが発⽣してしまうのです。
咬合再構成は⼝腔全体を1 単位として考えるので、機能⾯と審美⾯の両⽅が最終的に理想の状態になるように様々な治療をしていきます。
咬合再構成(オーラルリハビリテーション)の⽬的は咬み合わせを改善すること
咬合再構成はオーラルリハビリテーションとも呼ばれています。といっても、怪我や病気をした後のリハビリテーションとは少し異なります。咬合再構成( オーラルリハビリテーション) の最終⽬的は、咬み合わせを改善することです。咬み合わせは全⾝に強く影響します。
咬み合わせが悪いと左右の顎⾻のバランスが崩れます。その影響で背⾻が歪むと、肩こりや頭痛、腰痛などを引き起こします。咬合再構成で上下の咬み合わせのバランスを整えることで、⻑期的に⻭や体全体の健康が保てるようになるのです。
そのため、咬合再構成はオーラルリハビリテーション(全体的な改善)と考えられています。
咬合再構成(オーラルリハビリテーション)で⾏う治療とは?
咬合再構成は⻭周病や根管治療、矯正、補綴、義⻭などあらゆる分野の⻭科治療を組み合わせて⾏います。
必要な治療は⼈によって異なりますが、まずは⾍⻭や⻭周病などを調 べ、必要な治療をトータル的に考えて、⼤きく以下の順番で⾏います。
1歯周病治療
2虫歯治療
3矯正治療
4インプラント治療
5補綴治療
なぜこの順番でするのかというと、効率よく⼝腔全体を整えて最終的な咬み合わせにできるからです。
咬合再構成( オーラルリハビリテーション) は、よく家のリフォームに例えられます。ここでも、家のリフォームになぞらえて説明していきますね。
1 ⻭周病治療
家をリフォームするためには、家の中を⽚付けて環境整備をしなければなりません。まずは家具家財をどけて掃除し、リフォームのための環境を整えます。
⼝の中の場合は、⻭周病があれば最初に⻭周病を治療します。⻭周病は⻭や⾻を溶かしてしまうため、⻭周病菌が⼝の中に存在するとほかを⼯事する先から崩れていってしまうからです。
家の中に不要なものがあるとリフォームがうまく進まないように、⼝の中に⻭周病があると次の段階の治療がでかないので、まずは⻭周病から治療していきます。
2 ⾍⻭治療
家の中の環境が整ったら、次は古くなった設備の修復です。傷んだ柱があると柱が倒れて家全体が倒壊する危険があるため、古くなった柱を修復します。
⻭を柱に⾒⽴てると、修復が必要な柱( ⾍⻭) はシロアリ被害や経年劣化で傷んでいる状態の⻭です。⾍⻭がある場合は家全体( ⼝腔全体) が倒壊しないように、修復( ⾍⻭の治療) を⾏います。
3 矯正治療|傾いた柱を修復する
家の中で柱が傾いていると、全体のバランスが崩れて家をきちんと⽀えることができません。壁も屋根も傾いてしまいます。
⻭も⻭並びや上下の咬み合わせのバランスが悪いと、修復( 矯正治療) が必要です。⻭が前後や斜めに傾いている場合は、矯正治療を⾏いま す。
4 インプラント治療
家をリフォームする際に強度が⾜りない場合は、柱を追加して頑丈な家にします。
⼝内でも、⻭周病や事故などで⻭を失ってしまった場合は、インプラント治療を検討します。
インプラント治療とは、⻭ぐきの下の⾻に⼈⼯的な⻭の根を直接埋め込み、その上に⼈⼯⻭をつける治療のことです。
5 補綴治療
家の構造が整ったら、最後に仕上げで内装や外装を施します。内装は快適に過ごすため、外装は⾬⾵から家を守るために必要です。
⼝内の場合では、内装や外装は補綴治療にあたります。⽋けている⻭や被せ物が取れたままの⻭があれば、補綴治療( 被せ物) を⾏って隙間をなくします。補綴治療をすると細菌が⼊りにくくなって⾍⻭や⻭周病になりにくくなる他、ブラッシングもしやすくなります。
咬合再構成をする際の良い⻭医者の選び
咬合再構成は、お伝えしてきたように様々な治療技術を必要とします。そのため、医師は豊富な治療経験の他、あらゆる⻭の治療や⾻格などの
⽣体的知識も持ち合わせていなければなりません。
咬合再構成をしている良い⻭医者を選ぶには、以下のようなポイントを抑えることが重要す。
ホームページで咬合再構成をしていると明記している
咬合再構成の症例がたくさんある
学会や研修会などに頻繁に参加している
⾍⻭・⻭周病・根管治療・矯正治療・⼼療⻭科をしている
咬合再構成の⽬的や意味をしっかりと把握している
咬合器、CT機器、精密顕微鏡などの設備がある
料⾦や治療⽅針について詳しく説明してくれる
咬み合わせの悪さが引き起こす全⾝への悪影響
顎は⾝体の重⼼のバランスを保っています。そのため、咬み合わせが悪いと全⾝の⾻格にも歪みが⽣じます。その結果、肩こりや頭痛、腰痛、膝痛などを引き起こします。
全⾝のバランスの崩れは、不眠やめまいなど原因不明の体調不良の原因でもあります。
咬合再構成(オーラルリハビリテーション)でお⼝を理想の状態に!
咬合再構成は、⼀部分だけでなく⼝腔全体をトータル的に考えて⾏う治療です。咬み合わせを中⼼とした治療を⾏うことで、⻭の機能だけでなく審美的にも理想の状態に近づけることができ、⻑期的な健康も⼿に⼊れることができますよ。
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マスク美人
2020年10月27日
コロナ禍では、感染予防対策から当然のようにマスクを付けることになり、「マスク美人」という言葉が登場したのをご存じですか?マスクと付けている時は「おっ!綺麗!」と思いきや、マスクを外すと「おや…がっかり」という意味のようです。
顔は、「上顔面(おでこと眉)」「中顔面(目と鼻)」「下顔面(口元)」に分かれます。
マスクを付ければ、顔の半分(下顔面+鼻)を隠すことができます。特に女性の場合、目元はメイクで変わりますので「マスク美人」なんてことになるのでしょう。マスクで隠れる部分、特に「下顔面(口元)」はメイクではカバーできません。実際、歯の治療によって別人のように美しくなった方をたくさん見てきました。口元は顔立ちを決めるとても重要なパーツであると言えます。
特に50歳を過ぎて美しい「下顔面(口元)」であることは、とても難しいことです。なぜなら歯科治療における「理解力」と「時間」、「経済力」がないと口元の美しさは維持できないからです。
この状況下だからこそ、仕事、生活、健康などさまざまなことを真剣に考える機会が増えたのでしょうか…一時は受診を控えている方が目立ちましたが、マスクで「隠す」ことの出来る今を「今こそ歯の治療するタイミング」と前向きに捉える方が増えたように思います。咬合再構成(オーラルリハビリテーション)を考えるには良い機会ではないかと私も同感です。
さぁ、あなたも「本物の美人」を目指して口元を美しくしませんか?
院長 島田 実
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